かんむり。
どうも、ユベールです。
今日は狩りを休んで、フェイヨンでのんびり露店をしています。ぽかぽかあたたかい午後だからでしょうか、いつも忙しそうなカプラさんも心なしか嬉しそうに見えます。
カプラさんと、地元の道具屋さんのすぐ近くでの露店。これはちょっとしたお気に入りです。まだ幼いといっても良いような一次職の子たちが、様々な表情をして通り過ぎていくのを眺めるのも。
「ふあ……」
幼い、といえば、俺の背後にもいました。相方兼恋人のミミルです。たまに養子と間違われることもある低い背に、幼い顔立ち。欠伸しながら目をこする様なんてもう愛らしさのきわみって感じです。
本を読んでいたみたいですが、眠気が強くなったからでしょうか、閉じてしまっています。その本をおなかの上に乗っけて、更にその上からちいさな手をぽんっと乗せています。
プラチナブロンドの髪が日差しを跳ね返していて、ミミルの方を向くと、ちょっと眩しいです。花カートの中に入り込んで俺の背中に背を預けています。カートの端っこからはみ出た足がラブリーです。
「ミミル。おねむなら先に帰って良いんですよー」
「んぅー……ここが、良いー」
舌ったらずな声で呟いては後頭部をすりすり、俺の背中にすりつけてきます。BSのシャツはどうしてこんなに薄いんでしょうか。さっきからドキドキしっぱなしなのにこの仕草ってもう、拷問としか思えません。
寝る気満々なんでしょうか。ちらっと見たらミミルのプリーストの法衣の首のところが、ちょっとだけ肌蹴られていました。白い肌が覗いていて、お前待てこらと思うのですが、寝苦しかったら可哀想なので我慢です。その代わり絶対に俺がミミルの肌を隠し通して見せます。他の人には見せたくないですからね。
ミミルが眠りそうになる度に跳ね起きてはまたうとうとしています。前を向いていてもわかるんですよね。さっきから、ごいんごいん頭が当たってますし。
いたきもちい〜なんて思っていたら、後ろからごつんと衝撃が。ミミルの愛ペコペコの「ぺこ」です。俺のことを敵視しているのかどうか、事あるごとにくちばしでつついてきます。恋のライバルがペコペコというのも間抜けで、何となく切ないです。
ま、まあ、ペコペコはミミルとアンナコトとかコンナコトとか、あれとかそれも出来ませんからね。俺の方が圧倒的なアドバンテージ、が…………ありましたっけ?
――恋人、のはずなのに、こんな風に考えてしまうくらいミミルはぺこを大切にしています。ぺこが好きなミミルごと愛してはいるんですけど。たまーに虚しくなるくらいは、良いですよね。
「はあ」
溜息をついていたら。
とさっと軽い音がして何か落ちてきました。振り返ると、ミミルが持っていた本が滑り落ちていました。何となく手にとってみます。
「はじめての、りょうり……」
思わずひらがなでタイトルを読み上げてしまいます。
だってほらミミルが料理しているところって見たことなかったし、やろうとしているところも見たことがなかったから。意外じゃないですか。
もしかしてこれって、あれですか?
いわゆるひとつの『裸エプロン』フラグですか?
…………。
妙な発想の飛躍をしてしまいました。欲求不満でしょうか。初めてセックスして以来、ミミルとは一度もそういうことしていませんから。
俺としては好きな人とようやく体の関係が出来たのに二週間、何もせずにいたら寂しいわけです。ミミルは違うみたいですけど。
「やあマリモ。今日も精が出るね」
そうそう、昨日の夜もミミルが寝てから一人で……って。
「誰がマリモですかこんちくしょう」
「マリモ以外にマリモはいないよマリモ」
「連呼せんでください」
「マリモが怒った、マリモが怒った!」
何故か今無性に、車椅子から立ち上がらないといけない気がしました。
俺の怒りをさらっと殺ぐ代わりに妙な気持ちだけ残していった人が、目の前で跳ね回って踊っています。俺とミミルがいるギルド「Celetite」のメンバー、グリーンの髪の少年マジシャンです。名前はフリッツ。
着ている衣装はもちろんマジシャンのもの。ただ、今さっき初めて着ました、みたいな感じに新品でだぶだぶに大きいです。ぱっと見、成り立てマジシャンといった風情ですね。
とはいえ。彼のレベルは85。ぶっちゃけ俺よりも高いです。
マジシャンのままそんなレベルまでいくくらいですから腕は良いです。でもって、顔も可愛くて天使みたいです(ミミルには負けますけどね)。
そんな彼がマジシャンのままでい続けている理由といえば。
「あのね、今日はこれ、委託したいの」
「今度は何ブファ!?」
「時計塔の前でふらついてたらー知らないおじちゃんがくれたー」
「駄目ですいけません返してらっしゃい!」
ほい、と無造作に突き出されたのは。
日光を受けて眩いばかりに輝く、ティアラ。精巧な細工だけでも、もうマニア垂涎といった感じのやつでした。しかも何かさり気なく過剰してあるし。
また貢がせたんですね……。
声に出さなくても通じてしまったみたいです。半眼になる俺に向かって、ひまわりみたいな明るい笑顔と一緒にブイサインをしてくれました。
「やっぱりマジシャンの方が声かけてくれる人、多いんだよねー」
ティアラを人差し指にひっかけてくるくる回しながらフリッツが笑っています。こんな高額なものをタダでやる人間なんて、まずいないわけで。でも、からから笑う彼を見ているとその辺は言及できなくなります。
うん。何ていうか、どうしてかはよくわからないんですけど、フリッツは色々な人から色々なものを貢がせては全部、換金しているんです。それに丁度良いからってマジシャンのまま。でもレベルを上げるために狩りだけはしています。
最初に出会ったときはこんな高レベルだって知らなかったから「将来はウィザード志望?」なんて聞いたりもしました。「セージです」って、即答していました。だから、転職しないのはたぶん、本当に、貢がせやすくするためだけ、なんでしょう。
「はいこれ」
よろしく、と言って超高額なブツが俺のカートの中に放り込まれます。カートの中にはミミルがくーすか寝ています。その頭の上にぽいって。
うわ……ミミル、よく似合ってます。こっそり写真、撮っておきましょう。
そんな俺の膝から重みが消えます。
顔を戻すとフリッツが吹き出しそうな顔で俺とミミルを見比べています。その手には、さっきの『初めての料理』がありました。
「本当に実行するんだ、これ」
「フリッツの差し金ですか?」
「まあね」
詳細を知りたければ、と、鼻歌まじりにフリッツが手を差し出します。情報料ってことでしょうか。BSの俺よりがめつい気がするのは気のせいですか……?
差し出された手のひらに、ポケットから取り出したものを乗せます。
「飴玉〜?」
フリッツがいかにも嫌そうに顔をしかめてくれました。
こんな安っぽいもの?と言いたいのか、それとも、俺みたいながたいの良いのが飴玉を持ち歩いているのがおかしいのか。両方かもしれないですね。
お菓子を持ち歩いてるのは俺の趣味じゃなくて単にミミルのおやつなんですが……その辺は言っても余計嫌がられそうなので、止めておきます。
「フリッツに相談したんなら、俺には内緒にしたいことでしょうから。だからミミル本人が言ってくれるまでは聞かないでおきます」
「そ。浮気じゃないかとか、思わないの?」
「浮気のために料理するっていうのも、あんまり聞きませんな」
首を傾げる俺にフリッツも笑いながら本を返してくれました。
子どもっぽかったり意地悪したりもしますが、悪い子じゃないんですよ。
「じゃ、お先」
「はいはい。すぐそこだけど気をつけてくださいね」
ぱたぱた手を振ってフリッツはギルドハウスの方へ去りました。
いつのまにかティアラの委託を引き受ける形になってましたが、まあ、ギルメンですしね。俺の分の利益もちょびっと上乗せして売ることにします。ギブアンドテイクです。
今日の分にと仕入れておいた消耗品もあらかた片付いたし、そろそろ店じまいでもしましょうか。露店を畳みつつカートを見ると……。
「か、かわいい……」
相変わらずカートの中で花に埋もれて眠っているミミル。その頭にティアラが乗っかっています。もう、眠れる森のお姫様って感じです。夢にまで出てきそうです。ていうかもう今晩のおかずはこのミミルにします。
ついつい、ふらふらーっと顔を近づけてミミルにキスをしようとしたら。
ドガッと思い切り、ぺこに頭をつつかれました。
またですか。もう……。
渋々顔を引っ込めます。恨みがましい目でぺこを見ると、クエッと鳴きながら誇らしげに胸を張ってくれました。何て奴でしょう。丸焼きにしてやりたくなります。それをやるとミミルが絶望する勢いで哀しむから、しませんけど。
それにしても。
くーかくーか、こんな幸せそうに眠っている顔を見ていると、特化チェインで敵を粉砕する姿が嘘みたいです。
最初にそんなミミルを見たときはちょっと、いえ、結構びっくりしましたけど。
普通の支援プリと戦闘BSみたいに、一方的に支援されるんじゃなくて、俺からもミミルに対して支援できるっていうのが嬉しいです。でもってその上ミミルがそれを俺だけにさせてくれるから、余計に幸せです。
「むー……ぅ……?」
寝ぼけた声と一緒にミミルが目をこすります。起き上がろうとしてまたこてんと倒れました。カートに思い切りはまってしまったみたいですね。
じたじたもがいている手をそっと握って、小さな背中にもう片手を添えて。カートから降ろすついでに俺の膝の上に乗っけてみました。
「おはようございます」
「おは……ようですー……」
腕の中でぼーっとしてるミミルがもうやばいくらいかわいいです。
いつもなら抱き上げた瞬間に叫んで逃げていきますから。その後延々とぺこにつつきまわされて怒られますから。……俺って恋人、ですよねえ……?
ちょっと虚しくなりつつミミルの法衣の襟をきちんと留めてやります。
この首筋は俺専用なんです!
あ、他のところもですけど。
「わぅ」
被りが浅かったんでしょうか。ミミルの顔にティアラがずり落ちてきました。驚いて顔の前で手をぱたつかせている仕草が、小動物っぽくてもう、めちゃくちゃかわいいです。
ティアラを取ってやって丁重にカートの中にしまいます。これを紛失したりしたら、補填するだけで俺の財産のほとんどがなくなりそうですから。
代わりに何かミミルに被せようかなと思いましたが、カートの中には頭装備なんて入っていません。ミミルも趣味装備は持っていないみたいです。見たことがあるのはビレタ姿だけです。それも確かsなしの過剰なしだったような……。
慎ましやかでかわいいなーとは思うんですが。
「ミミル。どんな頭装備が好きですか?」
必殺『寝ぼけているときに好きな趣味装備を聞き出してあとでプレゼントしよう』大作戦です。作戦名、ちょっと長い気もしますが、まあ良いですよね。
「ん……。いぬみみ……」
「おお! 似合いそうですね」
「んぅ。ゆべーるに、つけるのー」
俺かい。
絶対に似合わないと思うわけです。それともあれですか、いわゆるワンワンスタイルでのプレイを御所望ですか? それなら望むところですよ。ええ、ええ。
ミミルにつけるのもかわいいだろうなーなんて思うわけなんですけど。
「そうじゃなくて、ミミルが欲しいものってないんですか?」
「……んー」
起きたばっかりでほんわかあたたかいミミルの手が、俺の手に触れました。こうして手と手が重なり合うと余計にミミルの手の小ささがわかります。
ちっちゃくてあったかい手がそっと、俺の手を持ち上げようとします。寝起きでまったく力が入ってないのがおかしくて、かわいいです。
持ち上げようとする動きに合わせて手を動かしてやります。
導かれるままにミミルの頭の上に手を置きました。
「これが……良いんです」
ミミルが寝言みたいに呟いて、しあわせそうに笑ってくれます。
滑らかな絹糸みたいなプラチナブロンドを撫で梳きます。指の間に感じる髪の毛の感触がもう、たまらなく心地良いです。ミミルもそう思ってくれているのでしょうか。目を細めて微笑んでいます。
趣味装備をつけないのってもしかして俺が撫でやすくするため、ですか? そう思って良いんでしょうか。たまには、自惚れても良い……ですよね。
懐中時計を見てみたらもうおやつの時間でした。
そろそろミミルを起こしてギルドハウスに帰って、皆でお茶をしたいものです。コル……じゃない、マスターは変人というか微妙な人ですけど、何故か調理と製菓だけは上手いんですよね。不思議です。
ミミルも毎日おやつを楽しみにしていますし。
起こさないといけないんです。
でも、起こしたら「ミミルをおひざだっこ」なんて次にいつ出来るかわからないわけで……。ああ、起こさないといけないのに、起こしたくありません。
こんな良い匂いのする髪の毛も、おこちゃまみたいに高い体温も、ずっと腕の中に閉じ込めておきたいです。離したくないです。
なんて考えていたら。
別の場所がオキテキマシタ。
だ、だって、この世でいっとう大切で大好きで愛しい人が腕の中にいるんですよ。しかも俺もミミルもうら若い青年なわけで、これはもう致し方ないと思うんです。
ミミルのお尻が丁度、俺の股間に当たっているわけですし。
欲情するなって方が無理ですよ。
「ミーミールー」
「んー」
耳の側で呼んでみました。口の中でもごもご返事をして、ミミルはまだおねむみたいですね。眠そうな顔も普段とはまた違って可愛らしいです。
辺りには誰もいません。
カプラさんも、地元の道具屋さんもそれぞれの仕事をしています。俺たちのことを気にしている人は誰もいません。
静かで、ミミルの寝息と俺の心臓の音だけ聞こえてきます。
ちょっとだけ。
ちょーっとだけ弄るぐらいなら良いですよね。
手始めにミミルのやわらかい頬をつついてみました。
「んーぅー」
寝ぼけたミミルに指をはたかれました。顔を触られるのはあんまり好きじゃないんでしょうか。そのまま法衣の胸に指先を這わせてみます。
くすぐったそうに身じろぐだけで、まだ目を覚ます様子はありません。
調子に乗って、胸の突起を探すようにゆっくり指の腹で撫でていきます。しばらく撫で回していたら布地越しに突起が膨らんでいるのを感じました。爪の先で何度か引っかいてみます。
「っ、ふ……」
腕の中でミミルがびくんと体を跳ねさせます。
ぎゅっと閉じ込めるようにして逃がしません。法衣の裾から手を入れてミミルの素肌に触れます。指先に触れるきめ細かな肌が最高に気持ち良いです。
押しつぶすように突起を強くつまんでから、くすぐるようにさらっと触れます。抱きしめてる俺の腕にミミルがぎゅっと掴まりました。
「ユベー……ル……?」
「おはようございます」
「ふえ……」
体と裏腹にまだ頭はちゃんと起ききっていないんでしょうか。そういえば朝はいつも、ご飯食べ終わってしばらくするまではぼーっとしてますね。
まだ眠そうにしているミミルの頬にキスをしながら、法衣の中に入れた手で突起を弄ります。ぷっくり膨れた突起を横から爪でつついたり、縦に押しつぶしたり。
「ぅ、ふや、ぁ……っ」
ミミルの肩がびくんびくんと、面白いように跳ねます。一生懸命に声を殺す様がかわいらしくて、ついつい何度も突起を苛めてしまいます。
「ユベ、ルぅ……や、ゃ、あ」
身じろぐミミルのお尻がまた俺の股間を緩やかに刺激してくれます。俺に抱きかかえられたままミミルが俺を振り仰ぎます。あ、ちょっと涙目になってます。かわいい……。
俺の手から逃れようとして暴れていたミミルですが、次第に動きが小さくなってきました。髪の合間から見える耳まで真赤になって俯いています。時々、どうしても堪えきれなかった悲鳴みたいな声が上がります。
「ひ、ひと……みられ、るの、……いや。です……」
「じゃあ見られないようなところ、行きましょうね」
「ち、ちが、……っう、ん……違う、の」
「ちょっとだけ我慢していてくださいね」
「やっ……!」
心行くまでミミルを煽っておいてから手を離しました。抱きしめていた腕を離すときについでに、ミミルの股間をさらっと撫でておきます。もう既に硬くなっているみたいでした。ちょっとにやけてしまいます。
肩で息をしながら上気した頬を俯けて、ミミルは座り込んでいます。
可哀想な気もしますがもう少し焦らしたいです。俺が二週間も我慢してたんですから、もうちょっとぐらい良いですよね。うん。……うう。心が痛みます。
心を鬼にしてまずは露店の片づけを完了させます。カートはやっぱり、行きよりもだいぶ空いてます。ミミル一人なら乗せられそうです。
ひょいと抱き上げてカートに乗せると、その刺激だけで辛かったのでしょうか、ミミルが小さな声を漏らしました。股間にくる声です。反則ですよ、ミミルさん。
「ぺこはここで少し待っててくださいね」
「クエ……?」
「お、お願いします」
俺の言葉にぺこが睨んできました。ミミルの言うことならすぐ聞くのに。またつつかれない内にと、ミミルを乗せたカートを引いて慌てて茂みの奥へ隠れます。
道からは近いけど、ここは木に遮られて意外と見えないんですよ。フェイヨンで露店を出し続けて約一年。その間に見つけた密かな俺のお気に入りの場所だったりします。本当に隠れた穴場です。
茂みの陰でミミルをカートから降ろして、また抱きかかえます。震えているミミルの法衣の裾からまた手を入れます。殴られるかとも思いましたがミミルは大人しくしてくれています。さすがに今ここで止めるのは辛いのかもしれません。ていうか、そうなるように弄ったんですけど。
もう片方の手でミミルのズボンを緩めて下着と一緒に下ろします。半勃ちのところに指を絡めて何度かしごくだけで完全にミミルのそこは硬くなりました。
「や、ぁ……。ん、ふっぁ、う」
「ミミル。あんまり声を出すと、他の人に聞こえちゃいますからね」
「っ――!」
ミミルが我にかえって慌ててぶんぶん首を振ります。刺激に流されすぎてて、外だってこと、忘れてたのかもしれませんね。
胸とミミル自身とを刺激して、その度に懸命に抑えられた声が漏れます。もう、このままずーっと弄り続けていたいです。が、やっぱり、あんまり長引かせるのも怖いですよね。外ですし。
ミミルがもう少し慣れて部屋でも簡単に誘えるようになるまでは、我慢です。……って、慣れてない人にいきなり外でしてる俺はせっかち、なんでしょうか。
もうちょっと焦らしたかったけど、我慢です。我慢、我慢。
カートの中から小瓶を取り出します。マスター手作りのローションです。くどくない爽やかな桃の香りと、後始末が簡単なのとで、なかなか評判みたいです。最近は予約しないと手に入らないらしいんですが、身内のよしみってやつですね。
とろみのついた淡い桃色の液体を指にとって、ミミルのお尻の合間に塗りつけながら解します。まだそこに触れられるのは慣れていないみたいです。(ていうか二週間前に慣れてなかったのに今慣れてたら、めちゃくちゃ問題なんですが!)
「や……っ」
「……止めますか?」
出来るだけでも嬉しいですけど、やっぱりどうせなら俺だけがっつくんじゃなくて、ミミルにも求めて欲しいんです。わがままかもしれませんけど。
散々弄った後でまったく刺激を与えずにおきます。俯いてるミミルがちょっと可哀想になってきました。続けちゃおうかな、なんて思い始めた頃。
「んん……。し、て……っ」
「はい」
少し掠れたミミルの声が、小さな小さな、俺にしか聞こえない声でねだってくれました。嬉しくてもうこれでもかってくらいの笑顔で俺は頷きます。
指で丁寧に丁寧に、ミミルの入り口と中を解していきます。
外だけど。いつ人が来るかわからないけど。でも、ここで急いでしまってミミルに怪我をさせるのは嫌ですし。それに、焦れてちょっとずつ自分から腰を振るようになったミミルが、もう、鼻血が出そうなくらい色っぽいですから。
一本、二本、三本と、時間をかけて指を増やしていきます。最初はきつかった入り口が次第に心地良い強さの締め付けに変わりました。
「入れて欲しくなったら言ってくださいね」
「っう、や、ユベールっ、の……いじわる、ですっ」
「ミミルの準備が出来てないのに、出来ないですから」
「ば、かぁ……」
泣き声まじりの吐息に、俺が先に音をあげそうです。
どうしますか、と聞く代わりに、ミミルの中に入れた指をばらばらに動かして刺激します。ある箇所を引っかくように触れるとミミルの背中がびくついて、勃ったミミルの先っぽから露が滲んできます。
これ以上いじめたら可哀想かな……。
「ふ、ぇ……。……、れ……て……」
ほとんど聞こえないくらい小さな声でミミルが言ってくれました。
ああ……、この声もとっておきたいです。俺今めちゃくちゃ幸せです。ぺこにつつきまわされたって構わないくらい幸せです。
指を引き抜こうとするとミミルの内壁がひくついて引き止めるみたいに締まります。押し倒して一息に突っ込みたくなるのを堪えて、あえてゆっくりジッパーを下ろして、自分のものを取り出します。
両手でそっとミミルのお尻に触れて広げます。双丘の間で入り口がひくひく震えています。膝立ちしてるミミルを引き寄せて、完全に勃起した自分のものの上にゆっくりと座らせていきます。
ミミルの体は小さめだから入れ始めは物凄く緊張します。それでも何とか、太い部分が全部入りました。ほっとしながらミミルの腰を慎重に、沈めさせていきます。
根元まで全部入れ終えた瞬間。
「あ、ぁあ……っん、ぅ、ふ――……っ」
俺の胸に強く強く後頭部をすりつけてミミルが仰け反って。
熱いナカがぎゅうっと締まって。
触れていなかったミミル自身から精が飛び散っていました。
「いっぱい出ましたね」
「や、ぅ……。だ、って。……にしゅ、かん。してなかった、から」
耳元で意地悪く囁いてみました。羞恥になのか快楽になのか、ミミルが泣きじゃくりながら言います。もしかしてとは思っていましたが、ミミルって自分でしたりしないんでしょうか。
知り合いのプリーストは結構遊びまわっているみたいですし、教会で決まってるってわけでもないと思うんですけど……。あでも、他の知り合いのプリーストたちはそうした話題も駄目って人も多いですね。その辺は個人の性格なのかもしれません。
「じゃあ、二週間分いっぱいしましょう」
「え。……っ、ぁ、ん……」
ミミルの抗議の言葉を封じるように、軽く腰を揺すります。それだけで面白いようにミミルの唇から、普段からは考えられないような甘い甘い声が漏れます。
二人とも服をほとんど着たままだからでしょうか。外でしているからでしょうか。ミミルも俺も、感度が上がっている気がします。
早く終わらせて部屋で続きを。
冷静な部分の俺がそう警告するんですけど、もう止められそうにありません。というかもう、ナカで動かすのも勿体無いくらい、気持ち良いです。
ああもう、ミミルに早漏なんて思われくないのに。
何て思いながらも我慢しきれずに。
動かす間もなくミミルのナカに出してしまいました……。
* * *
俺たちがギルドハウスに戻ったのはとっぷり日が暮れた後でした。
ぺこは、一羽で先に戻って、既にご飯を食べていました。うとうとしているミミルを抱きかかえた俺を、今にもつつき殺しそうな目で追ってくれました。怖いですよこいつ。
二人分のご飯だけ残して後片付けを済ませたマスターはといえば。
「桃臭いな」
一言だけ呟いてくつくつ笑っていました。無表情のまま。
ぺことは違った意味で怖かったです。不気味というか、何というか。この人ももう少し表情を豊かにしてくれると良いんですけどね。
ご飯は後で食べますとマスターに告げて、お風呂に入りました。
眠いとぐずるミミルを宥めながら後始末をして(ついでにもう一度させてもらいました)、のぼせながら俺の部屋に戻ります。一人一室でも余るくらい広い屋敷なので、俺も勿論、個室です。
俺のベッドでミミルは無邪気な顔をして眠っています。無邪気なはずなのに、妙に色っぽい表情に見えるのは俺の心が曇っているからでしょうか、神さま。
ベッドの側に椅子を置いて、そこに座ってじーっとミミルを眺めてみます。
お湯の匂いに混じって薄っすらとまだ桃の香りがしています。もしかして、お風呂上りのこの匂いまで計算されたものなんでしょうか。あのマスターならそれくらいの演出までしてしまいそうです。
擦られた所為でミミルの目元はちょっと赤いです。それを見ていると胸がずきずき痛みます。何でしょう、この罪悪感……。
「ごめんなさい。つい、やりすぎちゃいました」
やわらかい頬をつつきながら呟きます。ミミルが小さく身じろぎます。腰が痛んだのでしょうか。眉根を寄せて唸りました。そんな顔と声までかわいいです。
「あたま、いっぱい撫でてくれたら許してあげるです」
寝言でしょうか。
それとも、寝たふりでしょうか。
小さな小さな声でミミルが言いました。それがあまりにも愛しくて、撫でるより先にミミルの額やほっぺたや、唇や顎や、色々なところにキスをしてしまいました。
それからそっと、生乾きのミミルの髪を撫でます。
ミミルの寝息が聞こえてきてもずっと。
* * *
翌日。
上半身だけベッドに伏せるようにして、そのまま椅子で寝てしまっていたんですが。
起きたときめちゃくちゃ背中と腰が痛くて泣いたことを追記しておきます。
(ミミルはぴんぴんしていました。この差は何なんでしょうね……)
end
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